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聖書などの犬に関する肯定的な物語

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キリスト教と犬キリスト教では、大体においてユダヤ教の犬に対する否定的な見方が受け継がれた。しかし、聖書の教えが民間伝承される中でその影響が薄められ、犬に関してもたくさんの肯定的な物語がみられる。グラナダの民話では三頭の犬が三人の羊飼いとともにベッレへムへ行った、となっている。そこで彼らは幼な子イエスを見つけ、彼を眺めることができた。キリスト教ではイエスの誕生は羊飼いたちと結びついており、羊飼いには犬がっきものであるため、誕生の場面には犬が登場することも多く、そこには機れたものという暗示はまったくない。

キリスト教で最も一般的なのは、犬を忠実な友とする見方である。旧約聖書外典のトビト書には、トビアスが盲目の父親を助けるために借金を取り立てる旅に出かける。その旅には犬天使ラファェルと小さな犬がつき添った。伝説ではこの犬がトビアスを天国にまで道案内した、となっている。あらゆる困難を切り抜けて家に戻ったとき、犬が先に走り戻って到着を告げた。この物語のおかげで、犬にトビーと名づけることが多くなったのである。

聖者としての生涯のほうが影が薄くなっているものも

犬の名はキュビロン、ルビナ、メランボであった。聞くところによれば、グラナダではいまでも幸運のいるいとして犬にこれらの名前をつける人が多いという。キリスト教の聖者の物語にも犬がよく登場する。なかには犬の活躍が目立ち、聖者としての生涯のほうが影が薄くなっているものもある。その例がコルトナの聖女マルガレーテの伝説である。中央イタリアに住む美しい農家の娘が、一七歳で若い貴族に誘惑された。貴族の犬は主人を必死で探し回り、ついに殺されて冷たいむくろとなった主人を見つける。

マルガレーテにそれを知らせようと、犬は彼女のスカートの端をくわえて引っ張り、彼女を恋人の亡骸が横たわる場所まで連れてゆく。その娘、マルガレテは彼に夢中になり、九年間一緒に暮らし、そのあいだに息子が生まれた。ところが貴族が突然姿を消して、その幸せも終わりを告げる。悲嘆にくれてマルガレーテは実家に戻るが、貴族との罪深く不道徳な関係をなじられて、家に入れてもらえない。罪をあがなうために彼女は尼僧となり、その後清らかな一生を送ったおかげで聖者の列に迎えられる。犬は生涯彼女のもとにとどまり、慰めと友愛を与える、となっているようだ。

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