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心理学

満たされる心理構造は、社会、時代によって変化する

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ライヒは「貴族的性格の人間像」と呼んだ一人の患者の人間像を描き出している。彼の家は名門で、「騎士や貴族はかくかくでなければならない」という自我理想が、祖父から父親へ、そして本人へと継承されていた。

自己愛がどのようにつくり出され、また、満たされていくかの心理構造は、社会、時代によって変化する。かつては、神との合一によって人々の自己愛は満たされた。そして近年は、国家、社会が提起する共通の価値規範を取り入れた内面的な自我理想に自分が合するかしないかによって、自己愛の満足が左右される時代を迎えた。

貴族は貴族らしく礼儀を守り、貴族らしい態度応対をし、俗な人々や大衆が楽しむ快楽や満足は節制し、己に厳しく自己を律し、高い理想と、社会国家のために自分の努力と仕事をささげる。彼はこの自我理想にかなうように勉強し、社会人になり、社会生活を送った。第一次世界大戦ではすすんで国家のために身をささげ、戦傷を負ったが、片足を失ったことそのこともまた、彼にとって人生の誇りであった。

キリスト教やマルクス主義に身をささげる

また、キリスト教やマルクス主義に身をささげる、宗教やイデオロギーや社会主義のためにという思想は、心の中に生きていた。そして、これらの自我理想、その自我理想を体現することで満たされる自己愛はアイデンティティと呼ばれる。

肉体的苦痛や損失以上に、国家のために片足をささげたことが、彼にとっては自己愛を支える満足になっていた。同じような精神構造はわが国にも存在していた。戦時中、お国のために、国家のために身をささげることを喜ぶ人々は後を絶たなかった。

自分は何者かー自分は社会主義者である、日本の国家の一員である、キリスト教徒である。この自己定義にふさわしい自我理想の実現による自己愛の満足が、心の支えと活力源になっていた人々。アイデンティティ型人間から自我理想が失われ、共通のイデオロギーが失われ、献身の対象や国家、社会、思想が失われた現在、残るのは個々人の裸の自己愛の満足である。

-心理学

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