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哲学入門

記号論的社会分析の発想

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「エキゾチック・ジャパン」というコピーがあるが、これは言葉の明示的な意味(デノテーション)としては、東洋的(神秘的)な日本ということにすぎない。だが、このコピーがわたしたちに伝えるのは、日本には西洋以上に見るべきものがある、日本の奥深い魅力を再発見せよ、われわれの国日本は素晴らしい国だ、等々の言外の意味(コノテーション)である。

バルトは、『神話作用」という書物の中で、現代社会には、人間が知らず知らずのうちに(無意識のうちに)ある意味作用の世界(神話世界)の中に投げ込まれているという側面があることを、鮮やかに示している。わたしたちは、すでに見たように、TVやその他さまざまなメディアの伝えるメッセージやイメージの洪水のうちに存在している。

こういった記号論的社会分析の発想は、現代社会や諸文化の構造を捉えようとする方法に、大きな手掛りを与えた。記号論の重要な利点は、それがマルクス主義的な下部構造ー上部構造という従来の基本の軸から離れて、文化のさまざまな現象面のどこからでも、ある種の構造把握に至ることができるという点にあった。記号論のこういった側面は、それが現代思想のひとつの方法として拡がってゆくうえで大きな意味を持っていた。

分析軸とする文化人類学などは

分析軸とする文化人類学などはその代表格だが、ここでわたしたちは、もうすこしこの記号論の現代的隆盛の性格について考えてみる必要がある。構造主義と記号論的社会分析は、方法の土台としてはじつは、それほど違っていない。

しかし、そのもっとも大きな相違点は、構造主義が、いわばマルクス主義や現象学のうち建てた世界観に現対する暗黙のアンチ・テーゼ(あるいは乗り超え)という点にねらいを定めていたのに対して、むしろ記号論はその成果のうえに、どんな現象からでも社会の構造把握にアプローチできるという性格を持ったということにある。

現在日本に流通しているポスト・モダンの思潮において、この記号論的社会分析はひとつの主流を占めている。都市論、メディア論、音楽論、写真論、モード論、映像論等々は隆盛を極めているが、その源泉はここから流れ出ていると考えてよい。

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