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医療

優しさに研修医が涙したある話

投稿日:2015年4月22日 更新日:

外科研修医1年生のE君。下宿に帰っても金がない。週に4日は当直。給料はなんと普通の会社の新入社員の半分以下。卒後研修1、2年生のレベルでは、以前のインターン制と同じく悲惨な生活が待っている。国家試験合格後は、大学病院の医局または関連病院で実地を叩き込まれるわけだが、一人前にお金を稼げるのは他の病院に出向してから。国家試験に受かったからといって、すぐに医者として扱われるわけではない。

これが人もうらやむ花形職業か?立ちっばなし走りっばなしで、食事をとるヒマもない。外来診察、病棟巡回、手術の立ち会い、術後のケア。ないないづくしの毎日だ。当直明けのある日、ナースセンターを通ったとき、E君はこんな言葉を聞いた。1、2年生など、ベテラン看護師にとっては赤ん坊同然。1年生なんて、寝かせないでいいのよ。まぎれもなく、勤続B年の婦長の声。センセイ、センセイ、と口ではていねい語を使っているが、実はハナからバカにしてるんだ。クソ~、ヒドイこと言うなあもうろうとした頭が反応する。そうこうするうちに、診察時間になった。

マブタもだんだん下がっていく

血圧計の動きにつられてマブタもだんだん下がっていく。上の血圧120の音は聞こえるのに、下の血圧が読み取れない。頭の中で上の血圧音がプッと聞こえたかと思うと、スーと意識が遠のいていく。E君は、患者の血圧を測ろうとするが、何度やってもうまくいかない。どうやら彼の疲労はピークに達したようである。とうとうE君はその場で熟睡してしまった。寝かせといてあげなさいと、さっきの婦長の声がする。

はっと気がついたときにはすでに、E君は診察室のベッドの上にいた。後から婦長に聞いたところによれば、これは異例の措置だそうだ。血圧計から診察ベッドへ、というパターンは初めてだそうだ。なかにはCTスキャナの中で寝ていたのもいるらしい。ふつう研修医は、待合室のソファかレントゲン室のベッドで寝る。婦長の思わぬ優しさに涙したE君であった。

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