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エバーツ毛皮農場襲撃事件はブレンハイムでは大ニュースとなったが

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エバーツ農場襲撃事件は、ブレンハイムでは大ニュースとなった。だが、地元民以外は、単にそのバカバカしさに驚きあきれただけだった。毛皮問題自体は今に始まったことではないので、その点では、またか、という程度の事件だった。

当時、ビル・マクレランは再建の決意も固く、嫌がらせに屈したりせずに「一年かかろうと」立て直すと誓っていた。だが、エバーツ毛皮農場は今も閉鎖されたままである。実は、この事件に対する周囲の反応は複雑だった。

一方では、真面目に働く農民への同情があった。誰だって、いかにも実直そうな田舎の人間がひどい仕打ちを受けるところなんか見たくない。他方、当時の世論は「毛皮はダメ」というムードにかなり傾いていたので、心の底からかわいそうだと思えない人が多かった。

消費者の大部分はそっけなく顔を背けた

消費者の大部分はそっけなく顔を背けた。どっちみち、毛皮はすたれたと思われていたのだ。そのエバーツ農場襲撃事件からわずか三年後、毛皮は再び息を吹き返した。プラダによって毛皮人気復活二年二月二一日、月曜日。ミラノ時間午後五時を少し回った頃、プラダの秋冬コレクションのお披露目が行われた。

一九九年代半ばから終わりにかけて、エバーツ農場を始めとする世界数十カ所で起こった襲撃事件は、それほど衝撃的なものとは言えなかった。明らかに犯罪被害者だったマクレラン一家も、みんなから後ろ指をさされる職業についていたために、あまり気の毒がってもらえなかった。

一九四年代の貴婦人を思わせるアンサンプルを纏ったモデル軍団がピンクのランウェイを歩いてくる。鮮やかな赤のコート。首周りにはさりげなくファー・カラーが結んである。ふくらはぎ丈のスカート・スーツ。いつもメディアやセレブ、デザイナー仲間の心をとらえて離さないファッション・メゾンである。今回も、その新作がシーズン中最も注目されるラインになるのは、初めからわかり切っていた。

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