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毛づくろいをしたり、ごろんと横になってうたた寝をしたり

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十代だったブラッドがもっとも楽しみにしていたのは、物語を書くことと、そのイラストを描くことだった。干し草の樹包、トウモロコシの積み降ろし、家畜の世話、畑仕事などのあいまに、たとえっかのまでも手が空くと、彼はアトリエに駆けつけて芸術にいそしんだ。

ブラッドの父親が豚の数を減らすことにしたので、ほとんど傷んでいない小さな豚小屋が空っぼのまま残された。父親はその小屋を、松林のなかの快適な場所までひっばっていき、そのドにアトリエとして半分をブラッドの九歳の妹ジューンに遊び部屋として、もう半分をブラッドに与えた。

そして彼が画板に向かいはじめてから五分とたたないうちに、開いた窓から飛びこんできたデーモンが、かたわらでおとなしく座っているのだった。彼女は、美術用の消しゴムや鉛筆をおもちゃにしたりしなかった。

彼女が、主人の日課の規則性にもとづいて生活パターンを予測するのは不可能だったはずだ。ブラッドがいつささやかなアトリエに行けるかはまったくのなりゆきまかせで、そのときにならなければわからなかった。

毛づくろいをしたり

毛づくろいをしたり、ごろんと横になってうたた寝をしたりもしなかった。ただじっと座ったまま、絵を描いているブラッドをうっとりと見つめつづけていた。別に何をするわけでもなく、ただただ、じっと見つめていた。

昼間の農場の仕事のスケジュールは不規則だから、アトリエに駆けつけて画板に向かい、数分だけ絵筆をふるってから命じられた仕事を済ませるためにもどるのに、決まった時刻など存在しなかった。

ときには、ブラッドの父親が町のソフトボール・チームのキャッチャーをつとめ、ブラッドが少年チームのライトを守ることもあった。ブラッドが絵を描きはじめてからー昼だろうが、夜だろうが、時刻を問わずにー数分でデーモンが現われるという事実から、十代の少年は、自分とペットの猫は特別な心のきずなで結ばれているにちがいないと確信した。

夜のスケジュールも、やはり決まっていなかった。日が暮れてからもえんえんと干し草の棚を降ろさなければならないこともあったし、雨の日には早めに仕事を切りあげて、夕食のすぐあとに絵を描きはじめられることもあったのだった。

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