雑学

歌舞伎にはなぜ屋号があるのか

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歌舞伎にはなぜ屋号があるのか

歌舞伎にはなぜ屋号があるのか。歌手のコンサートに行くと、ファンはステージに向かってその歌手の名前を必死で呼ぶ。これは普通の光景だ。しかし、歌舞伎を見物する時に役者の名前を呼んだら、周囲にいる人からは冷笑されるだろう。歌舞伎での掛け声は、その役者の屋号で叫ぶものだからだ。ところで、どうして歌舞伎役者は屋号を持っているのだろうか。その由来は江戸時代まできかのぼる。

この頃、役者の身分は曖昧で良民か賤民かの区別がされていなかった。しかし一七〇八年に幕府が役者を良民だと公的に認定したことにより、それまで芝居小屋の近くに隠れるように住んでいた役者たちは町へ引っ越した。ところが、表通りに面したよい土地に家を建てているのは商家ばかりだった。そこでどうにが表通りに住もうとして、小間物屋、化粧品屋、薬屋などの商売をはじめた。

また、役者だけでは生活できないという切実な理由もあった。とにかく、商売をするとなれば当然屋号がつくことになる。何故なら商売人は慣習上、屋号で呼び合うのがふつうだからだ。こうして商売をはじめた役者は、その屋号を楽屋までもちこんだ。それが現在もずっと残っているというわけである。

歴史の古い屋号の方が重くみられ、主役級を演じる家柄と脇役系の家柄というのはあるが、役者の実力の方が重視されるとことがある。江戸時代の商人を模倣して使われ始めたものらしく、屋号とともにその芸風や、お家芸、十八番を継承していくのが流れだ。

古典芸能、特に歌舞伎には屋号がつきもの。今でも、お芝居のなかで、ご贔屓の役者さんが見得をきった時など、屋号が掛け声としてかかる。

歌舞伎の顔に入っている赤い線はなに?

誰もが知っているとおり、歌舞伎役者は濃い化粧をする。彼らは場面に応じて若者、老人、男、女、妖怪などになりきるために、化粧をするのだ。そして、その化粧によってその人物の人柄やそのときの気分を誇張したりする。その化粧の種類だが、大きく分けると、白塗り、赤っ面、隈取り、砥粉塗りなどに分類される。中でも歌舞伎役者に特徴的なのが、隈取りである。

この隈取りは役によって色や模様が変わる。赤い隈は正義や勇ましさを表す色で、正義の味方や豪快な男、超人であることが多い。この赤色は、人がリキんだときに体中に浮かび上がる筋肉や動脈を誇張して強さを表したものだという。逆に、青い隈は冷酷で悪知恵の働く悪者や悪霊、恐怖などをあらわす。そして茶色の隈は、獅子口や土蜘蛛などの怪物や妖怪など、人にあらざる者をあらわす場合に多く使われる。

隈取りの種類は全部で六〇から七〇種類にも及ぶ。なお、かつては朧朧の揺れる明かりに照らされる役者の顔の隈取りは、荒々しく生き生きと動いて見えたというが、現在は照明技術の進歩により、隈取りの味もみられなくなったという意見もある。

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