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心理学

他人や人類の苦悩を一身に背負い悲劇的にわめき続けることは観念的

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他人や人類の苦悩を一身に背負い悲劇的にわめき続けることは、観念的であり、もしかすると自分の個人的苦悩の投影に甘えているのかもしれない。自分個人の苦悩とまともに取り組み、その中に生ずる不思議な力と明るさを体験していかなければ、本当の意味で、他人や人類の苦悩を苦しむことはできないのかもしれません。ただ、どんな人の中にも、わずかずつでも育っているそのような苦悩の共有こそが、現実社会の非人間性を止揚したり防いだりしているのではないでしょうか。

愛によって象徴される共同存在意識は、決して独りだけ悟って世の苦しみから超然としていられるようなものではない。宗教的にいえば、まさにキリストが十字架を担わなければならなかったような苦しみがあります。人類の苦悩は、どんなに悟っても苦悩であり、矛盾は矛盾なのです。だからこそ行動を起こさないではいられないのだけれど、それがまた思うようにならず、苦悩を感じたままでいなければならないことが多い。

人間愛は、おそらく私たちの良心や道徳性の究極的なよりどころだと思います。道徳とか理想とかは、つねにそのときの社会体制によって、主としてそれを維持する方向に強調されてきました。そしてそうであるかぎり、それはつねに人間抑圧的に働らく面をもっていたのです。

諸々の道徳や理想が

諸々の道徳や理想が、人間性の内的発露としての面をもっていることは否定できません。個人的には青年期になって、幼児期以来の道徳に疑いをもつようになったときにも、なお残る最後の支えは、やはり人との共同存在の実感であり、他人の人間の実感でしょう。

人間性にめざめた多くの文学作品や進歩的な思想が、古い道徳に抵抗し、カウンセリングなどでも道徳や因襲のカラを破って人間性が芽を吹き出すことが多い。もちろん反体制の道徳さえ、うっかりすると人間性を殺す抑圧になることは、ドストエフスキーの作品などにも描かれているし、現在の反体制組織の中で、非人間性がまかり通っている場合のあることも認めなければなりません。

-心理学

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