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哲学入門

太宰治のようにモラル観の強い人は

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太宰のようにモラル観の強い人は、自分が書くことはどうにか許せても他人が書くことは到底許せないに違いない。まして、どこの馬の骨ともわからぬ新進作家ともなれば、その全身から発した「あなたが嫌いです」という言葉でさえ、ニヤニヤして握りつぶしてしまう。

太宰は一瞬ふいをつかれたようだったが、「そんなことを言ったって、こうして来てるんだから、やっばり好きなんだよ。なあ、やっばり好きなんだ」と答えたという。こういう態度に出る太宰はほんとうにイヤなヤツだと思いますが、「もの書かぬ人」の言うことは唯々諾々と聞いて、「もの書く人」にはたいへん辛くあたる作家はさして珍しいことではありません。

「もの書かぬ人」の抗議には真剣に対応しても、「もの書く人」の言葉は手玉にとって投げ捨ててしまう。こんないやらしい二重の態度を鮮明に打ち出せる太宰は、もの書きのプロであったとしみじみ思います。自分だけにはこうした「書くという業」をとっておく。

繊細な精神は

繊細な精神は、よい本を書いたりよい絵を描いたりよい演奏をしたりすることを通じてひとりでにいわば副産物として獲得されるものではない。それは、それぞれの仕事と並行いで「よく澄んだ眼」をもって「人間」を観察し、それによって得られた知恵を日常生活のすみずみにまで浸透させる、という特別の努力を払ってはじめて養われるのです。

ほかのだれも、こんな反社会的な狂気のような辛い・わびしい仕事などできるわけがないーじつは「してはならない」ーという奇妙な特権意識に支えられている。一流の学者であろうと芸術家であろうと、二流の学者であろうと芸術家であろうと、有名人であろうと無名人であろうと、太宰のような作家のモラルを貫いた作家であろうと、何かを表現する道を選んだ人が繊細な精神をもつことは至難のわざだということです。繊細な精神とは、また日常的卑近な現象から目を逸らさない精神と言いかえることができる。ニーチェは骨の髄までこのことを知っていました。

-哲学入門

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